2011年5月6日金曜日

新宿痴漢冤罪死事件、遺族が国賠訴訟を提起

THE INCIDENTS インシデンツ 正式オープン準備版より)

筆者 - 寺澤有
2011年 5月 02日(月曜日) 12:15
原田尚美さん 2009年12月10日23時ごろ、JR新宿駅構内で原田信介(はらだ・しんすけ)さん(当時25歳)は痴漢に間違えられ、男子大学生と駅員に取り押さえられた。被害者は男子大学生の友人の女子大学生で、「すれ違いざまに腹部を触られた」という。
その後、原田さんは新宿駅西口交番と新宿署へ任意同行され、11日午前4時ごろまで取り調べを受けた。結局、被害者が「加害者と(原田さんの)服装が違う」などとしたため、原田さんは解放された。
新宿署を出ると、原田さんは新宿駅からJRと東京メトロを乗り継いで、早稲田駅で降車。早稲田大学が原田さんの母校だった。午前6時40分ごろ、原田さんはホームへ進入してくる東京メトロの電車に飛び込んで自殺。
原田さんの遺品に、新宿署の警察官の取り調べを録音したICレコーダーがあった。
原田 私は何にもしてない。
警察官 あなたはそうだけども、相手としては、そういうことで、あなたのことを犯人だと思ったから、やはり取り押さえた。
原田 ただ、私、犯人ではないんですよ。
これらのやりとりはテレビやネットで公開され、「新宿痴漢冤罪死事件」は世間の注目と同情を受けた。

目撃者を探しています! 5/5 追記

原田です。

皆様から沢山のコメントや励ましのお言葉をいただき感謝しています。
現在10480名の方々から、ご署名をいただくことができたのは、皆様の応援のお陰です。
ご支援くださる皆様、本当にありがとうございます。

4月26日に、清水勉先生を代表とする9名の弁護団の先生方のご協力の元、国賠を提訴しました。


同日付けで、東京地検検事正 鈴木和宏様と 警視庁 警視総監 池田克彦様に【質問状】を送付しました。
皆様に今日は、お二方にお送りした「質問状」に付いてお伝えしようと思います。

平成23年4月26日
東京地方検察庁 検事正 鈴木和宏様
原田尚美
支援 犯罪被害者家族の会 小林邦三郎
前略。
押収資料の取り扱いについて,質問させて頂きます。
個人情報保護法は,民主国家である限り,開示することが原則の法であります。
捜査等に支障をきたす場合を除き,全てを開示しないということは,職権の濫用ではないでしょうか。犯罪と冤罪を防ぐためには,事実を明白にすることが大切であり,隠匿することが,犯罪と冤罪の増長する要因となっていることをご理解頂きたいと願います。
警察の最大の使命は,個人の権利と自由を保護することと存じます。これまでの回答には,何らかの誠意も感じられず,組織全体で責任を免れるために,証拠を隠匿していると考えられます。
つきましては,事実関係を明らかにするためと,法の解釈を明確にすることが肝要であり,下記の通り,質問いたしますので,理由を明確にされ,該当する法の謄写を添付の上,2011年5月11日(水)までに,ご回答を賜りたいと存じます。

1.新宿駅のビデオに関して,コマ送りに謄写されたものを,開示することを前提として呼び出され,申請書の提出のため,検察庁記録課に伺いましたが,  後日,開示しない旨回答がありました。結果的には,遺族である私を騙すことになりました。
2.被疑者死亡・被害届なし・供述調書なしにて,書類送検されましたが,内容を確認され,逆送致すべきことと存じます。
3.立件されていない事件を死者に罪を負わせ,書類等の開示を刑訴法を理由に拒むことは、許されないことと存じます。訴訟の対象とならないことは,  明白ではないでしょうか。
4.ビデオ等,公共的施設に設置されたものは,万人の者の権利であり,警察固有のものではなく,確認資料であるべきで,押収すべき物件とは言えな  いと存じます。
大阪地検特捜部は,フロッピーディスクを返却しており,持ち主に速やかに返却すべきことと存じます。現在,本体はどちらで保管されているのか,お聞かせください。
5.検察庁は,起訴手続きを遂行するとともに,各警察官を指導する立場にあると存知ますが,責任をどのように感じておいでなのか,お聞かせ下さい。
以上 よろしくお願いいたします。

警視庁 警視総監 池田克彦様

前略。                                 
押収資料の取り扱いについて,質問させて頂きます。
個人情報の開示は,民主国家及び法治国家においては,開示することが原則の法であります。これまで警視庁より回答頂きました内容は,開示しないための条件を述べているに過ぎません。
新宿署の違法な取調べと書類送検を隠匿するために,警視庁と牛込署が協力しており,組織的な考えであることは明白な事実です。
警察の最大の使命は,個人の権利と自由を保護することと存じます。
関わられた警察官の方々の勤務状況は,本来の使命から逸脱していると感じております。
つきましては,違法と思われる事項について,下記の通り,質問しますので,明確に且つ該当する法の謄写を添付の上,2011年5月11日(水)までに,納得のいくご回答を賜りたいと存じます。

1.死者の死因を確認する義務は,親に当然与えられたものであり,何人たりとも,これを拒むことは許されないものと存じますが,牛込署が保管していた  東京駅から東西線大手町駅間のビデオを,何故,警視庁が保管し,情報公開センターが管理及び権利を行使しているのか,理解できませんが,その理由をお聞かせください。
2.事件は新宿駅で発生し,取調べを担当したのは新宿署です。息子は自殺したと確信していますが,事件と直接関係していない他駅のビデオが,訴訟  の対象となっていることが,非常に疑わしいと思います。
事故死と認定したことが,警察の都合であったため,親にも見せることができないと考えられますが,如何でしょうか。
3.痴漢の容疑が嫌疑なしと払拭されたにも関わらず,被疑者死亡,被害届なし,供述調書なしのまま,書類送致していますが,これらの違法行為を,   警視庁本部も隠匿することで,加担していると言わざるを得ませんが,如何でしょうか。
4.駅のビデオ等公共的施設に設置されたものは,万人の者の権利であり,警察固有のものではなく,確認資料であるべきで,押収すべき物件とは言え  ません。速やかに東京メトロに返還されるべきであります。現在,本体は何処で保管されているのでしょうか。
5.昨年の3月1日より,本人以外の者に開示はできなという回答のみでしたが,遺族にも平気で嘘を並べることは,警察の存在意義に疑いが生じることと  存じますが,回答に誤りはなかったと言えるのでしょうか。
以上 よろしくお願いいたします。

5月2日に検察庁記録課の鈴木氏より「記録課の担当検事がご説明したいので、検察庁に来て頂きたい」というご連絡をいただきました。
今まで何度か検察庁に伺い、3月31日には刑事部の新宿署担当 高橋検事様よりご説明頂きましたが、今回は文書による解りやすいご説明を求めた
【質問状】ですので、文書による回答をお願いしたい旨お伝えしました。記録課の方々のお心遣いには感謝いたします。
真正なご回答を頂けるよう、更にご協力をお願い申し上げます。


5月2日に寺澤有氏の【インシデンツ】に息子の事件の記事をご登載頂きました。http://www.incidents.jp/news/
同日「原田信助君の国賠を支援する会」を起ち上げて頂きました。ご連絡先はポエナ事務局になります。
〒110-0008 東京都台東区池之端2-1-35 -2109(出口様方)
「犯罪被害者家族の会 Poena」TEL & FAX : 048-734-6810(小林様ご自宅)


これからも目撃者探しを続けていきますので、目撃された方、何か情報をお持ちの方、どうぞお知らせください。


●署名TV
原田信助の受けた暴行被害について、
十分な捜査を実施し,犯人を起訴することを求める署名


●署名TV
原田信助の受けた暴行被害について、
十分な捜査を実施し,犯人を起訴することを求める署名
[※] 携帯電話専用です。

2011年5月1日日曜日

4月30日は息子の誕生日でした。

原田です。

皆様から沢山のコメントや励ましのお言葉をいただき感謝しています。
現在10418名の方々から、ご署名をいただくことができたのは、皆様の応援のお陰です。
ご支援くださる皆様、本当にありがとうございます。

4月26日に、清水勉先生を代表とする9名の弁護団の先生方のご協力の元、国賠を提訴しました。
午後3時から弁護士会館で記者会見を開き、沢山のメディアの方々にお集まり頂きました。
記者会見の様子は、【ニコニコ動画生放送】で放送して頂きました。
25日から【日刊サイゾー:浮島さとし記者】【ニコニコニュース:亀松太郎編集長・三好尚紀記者】に報道して頂き、27日の朝刊では【東京新聞:社会面】【朝日新聞:東京版】で取り上げて頂きました。ご担当者様に御礼申し上げます。

皆様に今日は、記者会見時にご来場の方々にお渡しした「記者会見の趣旨」をお伝えしようと思います。

                                      平成23年4月26日 
【記者会見の趣旨】
私の息子原田信助(当時25歳)は、平成21年12月10日午後11時頃、帰宅のため、新宿駅構内を通行中に、見知らぬ男子大学生より、突然階段から引き落とされ、暴行を振るわれました。
信助が、その大学生の友人の女性に対して「お腹を触る」痴漢行為をはたらいたというのです。
男子大学生から殴られ続けた息子は、何とか抵抗して体制を反転し、「今、暴行を受けている」と、携帯電話から110番通報しました。

その後、女性に「痴漢」と言われて駆けつけた2人の駅員に、息子は襟首を摑まれたり、突き飛ばされたりしました。駅員の通報で、新宿駅西口交番から駆けつけた3人の警察官に「任意同行」と称されて、交番に連行された後拘束され、私に電話をすることも許可して頂けませんでした。
そして、「あなたは被害者なんだから、署に行って、刑事さんに話さなければいけない」と、騙されて、パトカーで新宿警察署に連行されました。

息子は、新宿署の刑事に、「痴漢容疑の取調べだ」と言われて、初めて自分に痴漢の容疑がかけられていることを知りました。
息子は、自分が一方的に暴行を受けた被害者であることを説明しましたが、3人の刑事は、息子の被害の訴えにメモでさえ取らず、
息子を痴漢の被疑者として、朝4時頃まで取調べを行いました。
その結果、信助は自分の無実の訴えが通り、後日新宿署に暴行の被害届を提出することになったものの、刑事の「お互いに訴えあえ」「証人として、駅員さんに話を聞く」等の言葉に、自分の前途を悲観して、また長時間の取調べに依り、心身ともに疲れ果て、翌朝自殺に追い込まれました。

さらに警察は、亡くなった信助を、痴漢の被疑者と認定して書類送検し、一方で、息子が必死で訴え続けていた暴行事件については、捜査を行わないまま、書類送検も行わず、事件として終わらせてしまいました。

私がその夜、息子の身に何が起きたのかを詳しく知ることができたのは、息子が英会話の勉強のために持ち歩いていたボイスレコーダーを、私に残してくれていたからです。
新宿西口交番と新宿警察署の取調べの一部始終を録音した息子のボイスレコーダーには、突然の暴行によって傷ついた身体の手当てもされず、
自分は110番通報した被害者だと説明しても、訴えを取り上げず、電話も許されず、身に覚えのない痴漢の被疑者として一方的に追及され、どんどん衰弱していく息子の声が収められています。

息子の人生は、希望に向かって歩み始めたばかりでした。
息子は意志の強い努力家で、JAXAに入る時には、一日15時間も勉強していたことを、親友の方から教えて頂きました。
息子がいなくなり、初めてむすこの部屋に入りましたら、部屋中本がいっぱいで、資格試験の参考書が積まれていました。
事件の前月には情報処理技術者の資格も取得していました。他にもまだまだ人生で挑戦したいことが沢山ありましたし、
「将来、早稲田大学に奨学金をつくりたい」などの夢もありました。

昨年の12月27日の警視庁通信指令本部の証拠保全の検証において、「お腹を触られた」被害を申告した女性が、事件の翌朝前には、「(息子は)人違いだった」と証言していた事実が明らかになりました。人違いであることが判っていながら、1月29日に、息子を、「東京都迷惑防止条例の被疑者」として、書類送致した新宿署の行為は、犯罪と言わざるを得ません。
この度、国賠を提訴したのは、息子の名誉の回復のためと、この国の警察の捜査によって、息子のような被害者を二度と出してはいけないという思いからです。どうぞ、皆様のお力を私にお貸しください。よろしくお願いいたします。

4月30日は息子の誕生日でした。
生きていれば27歳になっていたはずでした。
今年は息子に「国賠を提訴した」ことを伝えることができました。
今年は息子に「お誕生日おめでとう」と言うことができました。

昨年の12月11日に、同僚の方々から頂いたドラセナ・サンデリアーナは、今日も元気に葉を伸ばしています。
1月11日に頂いた猫柳も帽子を脱いで、可愛い姿を見せてくれています。
息子の名誉を回復する第一歩を祝福してくれているかのように見えます。


これからも目撃者探しを続けていきますので、目撃された方、何か情報をお持ちの方、どうぞお知らせください。